欅坂46が大人批判を繰り返すのはなぜか――『大人は信じてくれない』に見る、ロックバンドを超越する反体制アイドルの覚悟



2016年4月6日、欅坂46はデビューシングル『サイレントマジョリティー』で衝撃的なデビューを果たした。これまでのアイドル像とは打って変わって、可愛らしいものではなく大人批判、自由、孤独といった言葉を盛り込みながら強烈なメッセージをもった「反体制派アイドル」が登場した。

続く2ndシングル『世界には愛しかない』でも同様に大人と対比させながら若者が信じる純粋な愛を表現している。欅坂46は、自由や孤独、不安を若者の代弁者として歌う新たなアイドル像を形成してきた。

そして、今回取り上げるのは、3rdシングル『二人セゾン』のB面に収録されている『大人は信じてくれない』だ。
『二人セゾン』は、これまでの二曲とは異なり、切なさを感じさせる爽やかな青春ソングであった。しかし、欅坂の目指す方向性はブレてはいない。B面収録の『大人は信じてくれない』が1st、2ndに続く欅坂の路線を継承している曲になっている。

欅坂46は、なぜこうも大人批判を繰り返すのであろうか。『大人は信じてくれない』の歌詞解釈を通じて大人批判を繰り返す理由を考察していく。


――――
いいことなんかない
退屈な毎日さ
やりたいこともない
夢なんかひとつもない

心が叫び続けていたって
誰にも聞こえないよ
(助けて)

大人は信じてくれない
こんな孤独でいるのに
僕が絶望の淵にいるって思ってないんだ
And why? Believe me I really wanna die, don`t ya know?
Why? No way I can find my sign
――――

絶望感に満ちたアイドルらしからぬ歌詞でこの曲はスタートする。私がこれだけ悩んでいるのになぜ大人は気付かないんだと言わんばかりである。

そして英語の歌詞。内容は過激なもので、直訳すると「なぜなの?私は、本当に死にたいってこと信じてよ。そんなことも知らないの?なぜかって?私が生きるしるし(証)を見つけられないから」という意味になる。

この生々しい歌詞こそこの曲が主張したいことが込められている。この歌を聴いた際、真っ先に思い出すのはいじめの問題だ。社会的にも深刻的な問題になっており、現状学校の先生では把握し切れない状態になっている。


これまで社会的な問題を歌にしてきたのは、ロックアーティストが主だったはずである。アイドルと言えば、社会問題とは離れた夢や希望といったものを届けるといった存在であった。しかし、欅坂46は社会的な問題を主張する。まるでロックアーティストを想起させるようだ。『大人は信じてくれない』のサビのダンスにはヘッドバンキングを取り入れていることからもロックに通ずるものがあることが分かる。


このように、欅坂46が社会的な問題を歌う背景にあるのは、ロックというジャンルがアイドルに寄ってきている、という事実がある。社会問題を歌にするロック音楽が減っている。プロデューサーの秋元康氏を含めた運営側の大人たちは、欅坂46というアイドルに若者の代弁者としての役割を与え、彼女たちはその期待に応えるかのように『大人は信じてくれない』という曲で素晴らしいパフォーマンスを見せているのだ。

2016年12月24日から25日にかけて有明コロシアムで行われた初単独ライブでは、一曲目にこの曲が選ばれた。その際に印象的だったのは、平手友梨奈の「有明コロシアム、かかってこい」というセリフだ。彼女たちがロックとアイドル音楽の二面性を持ったグループだということを再認識させられた。


欅坂46が大人批判を繰り返す理由は、社会的な影響、そしてロックアーティストのアイドル化によって、反体制派であるはずだった存在が失われたからである。その結果、新たに欅坂46という、アイドルでありながらも反体制派という二面性を持ったアーティストが表れた。

欅坂46の登場は必然だったに違いない。

TEXT:川崎龍也

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